東京都小金井市長選は27日投開票され、無所属新顔で元市議の白井亨氏(47)が、無所属新顔で共産党地区委員長の小泉民未嗣(たみじ)氏(44)=共産推薦=を破り、初当選を果たした。当日有権者数は10万2093人。投票率は35・59%(前回40・89%)で、1995年の39・26%を下回り、過去最低となった。
白井氏はJR東小金井駅前の事務所で開票状況を見守り、その様子を応援してくれた人たちに向けてオンライン中継。午後10時半、当選が確実になると、支援者から花束を贈られ、ガッツポーズをした。当選の理由について、白井氏は8年余の市議としての活動を挙げ、「評価と期待をしてもらったのだと、ひしひしと感じる」と述べた。
西岡真一郎前市長の辞職につながった、市立保育園2園を廃止する条例改正の専決処分への対応について報道陣に問われると、「12月市議会に元の条例に戻す条例改正案を出したいが、議会側との調整も必要」と話した。
白井氏は市議時代に市民との対話に力を入れ、市政の課題解決につなげてきたと政治家としての実績をアピール。政党などの支援を受けない「完全無所属」を強調して「みんなでつくる街にしよう」と訴え、支持を集めた。選挙中には、保坂展人・世田谷区長らが街頭での応援に駆けつけた。
長年の懸案である新市庁舎建設については、「早期建設」を打ち出した。現在、福祉会館との複合施設とする計画が実施設計までほぼ完了している。着工に至らない状況に対し、「混迷に終止符を」と訴えた。
野川沿いの自然が残る地域を通る予定の都市計画道路については、「今止めなければ取り返しがつかない」と主張。事業化の凍結とともに、廃止も含めた都市計画の検証や見直しをするよう都に要望した上で、協議を求めていく姿勢を示した。
小泉氏は市立園廃止の専決処分の「撤回」に加え、市立園5園すべてを維持・発展させていくと主張。新市庁舎建設については「約10億円のコストダウン」などが可能な別のプランがすでにあると、白井氏との違いを強調。現計画から変更することで生まれる財源を使い、困窮する市民の生活支援の充実を図るなどと訴えたが、及ばなかった。
前市長の唐突な辞職に端を発した市長選。小泉氏の出馬表明は告示の2日前。難航した候補者探しの末の立候補だった。自民党も候補者を立てようと動いたが、擁立には至らず、保守層からは「投票先がない」との声も上がっていた。
また27日は新顔3人が立候補した同市議補選(被選挙数2)も投開票された。(井上恵一朗)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル